研究課題/領域番号 |
25370830
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉本 道雅 京都大学, 文学研究科, 教授 (70201069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 左伝 / 国語 / 郭店楚簡 / 上博楚簡 / 清華簡 / 北大簡 |
研究実績の概要 |
第一に、『清華大学蔵戦国竹簡』3を対象に、通仮字・古今字・異体字ないし訛字を外して本字・今字・正字のみを用いた「本字テキスト」を作成し、それに加えて、通仮字を見出しとした通仮字・本字置換表を作成した。 第二に、『左伝』の定量的分析を進め、その研究成果の一部を、「『左伝』と春秋史」として公刊した。本論文は、『左伝』の日月の分布を検討したものだが、結論として以下の所見を得た。『左伝』は722-468BCの255年間を扱う、これを85年ずつ、前期(722-638BC)・中期(637-553BC)・後期(552-468BC)に三分し、日月数を統計すると、前期においては鄭莊公に関わる前710年代・晉文公に関わる前630年代を除くと日月数が少ない。中期では前590年代以降、日月数が増加に転じ、後期の前540年代には日月数が最大値に達する。以後は減少に転ずるが、依然高い数値を維持する。同じ傾向は『左伝』の字数にもうかがわれるが、こうした日月数・字数の増減は晉霸の動向に対応する。とくに後期前半(552-506BC)の数値が高いことは、『左伝』の関心が晉霸の解体過程にあったことを示唆する。本論文は、既に公刊した「清華簡繋年考」(2013)・「國語成書考」(2014)とともに、『左伝』を起点とする戦国中・後期の「左伝学」が、晉系に属することを再確認するものとなる。 第三に、Lothar von Falkenhausen UCLA教授の紹介にて、平成26年11月12日~12月17日に沈載勲(Jae-hoon SHIM )檀國大学校教授を招聘し、清華簡『繋年』に関する共同研究を行った。沈教授はシカゴ大学で学位取得ののち、シカゴ大学・イェール大学で10年にわたって教職に就き、韓国のみならず中国語圏・英語圏をも含めた代表的な先秦史研究者である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年4月の「今後の研究計画」では、(一)戦国楚簡の「本字テキスト」作成、(二)『春秋經』『左伝』の定量的分析、(三)海外研究者との共同研究を予定していた。 「研究実績の概要」に上述の如く、(一)~(三)のそれぞれにつき相応の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、前年度の作業を継続するとともに、報告書の作成につとめる。報告書は序論において『左伝』研究の現況を批判的に総括し、ついで各論においてまずは『春秋経』『左伝』の文献的性格を確認し、ついで『国語』以下、各文献と『左伝』との比較分析に基づき、それらの文献的性格と成書年代を論ずる。結論においては、おおむね戦国中期から前漢前期における『左伝』の成書とその受容、春秋史認識に推移を総括するものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者のミス。財務会計システムの「執行額」の確認が不十分であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費(主に図書)として使用する。
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