研究課題/領域番号 |
25370832
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大澤 孝 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (20263345)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イェニセイ河 / トゥバ河 / テプセイ銘文 / 洞窟墓 / 古代テュルク語 / ルーン文字銘文 / タガール時代の立石墓 / 岩絵 |
研究実績の概要 |
本研究では大澤はロシア連邦ハカス国のハカス言語文学歴史研究所と学術協定書を結んだ上で,同研究所の研究員と共同で,古代クルグズ族の遺跡や岩壁碑文を調査している.本年度の調査は主にイェニセイ河中流域で,ここに流れ注ぐトゥバ河の合流地点に立地するテプセイ岩壁銘文を現地調査した.これまでその存在は知られていたものの,急峻な崖の壁面にある洞窟内の岩壁銘文を現地のロッククライマーの手を借りながら,ロープで400mほど降下して,ようやく至った洞窟の内部で,これまで未知の鉄器時代の山羊や鹿の岩絵と新たなイェニセイ銘文を発見し,写真撮影した. この碑文については,9月24日にハカスの教育省とハカス言語文学歴史研究所主催の国際学会で口頭報告を行った. また,イェニセイ河沿いから,ハカス北部の草原にある青銅器時代のタガール時代の立石を再利用する形で刻まれた短いルーン文字銘文をも調査し,写真撮影した。これについてはなお,検討中である. また,その後,アスキス地区に出向いて,タガール時代の立石墓を調査し,数点の岩絵や タムガを発見することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,ロシア連邦ハカス共和国のハカス言語文学歴史研究所との共同調査という形で現地調査を実施し,そこで得られた新知見を現地で開催された国際学会などで報告することで,ハカスの研究所所員も十分満足する形で成果が共有されていると思われるからである.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,これまでと同様に,現地の研究所との共同調査という形で古代クルグズ族の碑文や遺跡調査を継続して実施してゆく予定である.そこで得られた成果についても,積極的に国際学会や共同研究会で発表し,知見を共有すべく努めたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度のハカス共和国で予定していた,現地調査を行った際に現地の研究所附属の図書館に所蔵する古代テュルク碑文関連の論文コピーが図書館の利用時間に制限があって、あいにく使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の現地調査や,ハカス共和国のアバカン市の言語文学歴史研究所を訪れた際に、関連資料の収集代として使用する予定である.
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