二十世紀初頭の近代東アジアは本格的な海洋資源獲得競争の時代へと突入した。日本では遠洋漁業奨励法の発布に伴って、多くの漁民がカツオやマグロを追いかけて海外へと出漁し、また海外へと移住を開始した。これに危機感を察知した清朝・中華民国では、海洋を重視する動きが強まり「海権(Sea Power)」に関してさまざまな議論が行われた。しかし現実には多くの日本人漁民が中国の租界地である大連や旅順、青島のほか、朝鮮半島の各地へと移住・出漁し、渤海・黄海・東シナ海において中華民国・朝鮮・台湾の漁民との間に激しい資源争いを惹き起した。かかる漁業紛争は敗戦後漁民が帰国した後も現在にいたるまで影響を残している。
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