研究課題/領域番号 |
25370835
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
大石 高志 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70347516)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | インド / 環インド洋世界 / 軽工業製品雑貨 / 消費 / 文化表象 / 商人 / ナショナリズム / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究は、近現代インドに大衆消費財として流通を見た軽工業製品雑貨に焦点を当て、特に、それらの商品が付帯した政治・文化・社会的な表象や消費の文脈を分析することを通じて、社会的動態の特質を探求するものである。また、事業家・商人の主導によって付随的に展開された慈善や福祉、宗教が地域社会のなかで有した機能も、検討課題としている。 当該年度においては、「インド洋世界とインド人商人・起業家のネットワーク―植民地期における複合性と多様性」『現代インド1―多様性社会の挑戦』第6章(2014年度出版予定)を執筆し、植民地経済の浸透が、その主導性にもかかわらず、商品経済や市場の収斂・収束を直線的に招かずに、むしろ、在地社会の要請や商人の戦略による「逸脱」と「対抗」のなかで多様性と複合性を担保したことを検証した。 また、研究の国際的展開という目的に則して、2015年夏季に開催される世界経済史会議WEHCでのセッション・パネルの準備を始めた。複数の海外研究者の参加も得て“Diversity-driven Dynamics of Economic Development: Ecological Constraints, Labour-intensive Production and Socio-cultural Representations of Consumption in Modern South Asia”というパネルを企画・応募し、2013年12月に採択された。 また、本研究課題とも連動させる形で、別途、戦前の日本の輸出商品とインド社会動態との連関に焦点を絞ったプロジェクトを、国内で立ち上げた。2014年5月に社会経済史学会全国大会で主宰する「20世紀前半におけるインド社会経済の変容と日印貿易関係―消費、表象、アイデンティティ―」というパネルで発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の展開における学術連携に関しては、国際的および国内でのもの、双方で、相当の進展を果した。資料調査に関しては、前年度から継続で、チェコや日本から硝子製品を輸入していたインド人の商家史料を渉猟・入手するなど、成果を挙げたが、海外出張を伴う形態のものは、2013年度に関しては諸般の事情で進めることが出来なかったので、2014年度には、精力的に執り行いたい。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度には、特に、海外出張を伴う史料調査・収集に重点を置いたうえで、国内および国際的な学術連携に関しても、引き続き、意欲的に取り組む予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年度は、海外出張を伴うかたちとしては、史料調査・収集を執り行うことが出来なかった。 2014年度以降は、インド渡航滞在を含めて、自身の海外出張を再開し、精力的に史料の渉猟・収集を行いたい。また、国内外の研究者との連携に伴い、招聘等にも支出が予定される。その他、2013年度からの継続で、物品費にも、相当の使用が見込まれる。
|