近代インドに消費財として台頭した特定の軽工業製品、特に、硝子装身具、香水・香油、ビーディー(タバコ)、マッチを取り上げて、市場形成や消費の局面で生じた政治・文化的な表象、生産や労働の特質、事業家によって付随的に展開された慈善・宗教の活動を、明らかにする探求を行った。 社会経済的中下層の台頭・上昇が自己表象や社会的顕示を帯同した商品の消費を誘発したこと、こうした商品の多くは正統・伝統的な物品や高価な外来輸入品を「模造」するかたちで製造・商品化されたこと、宗教・慈善・教育の施設が設けられて労働集約型の中小製造所群の労働者を社会的に包摂する試みがあったことを明らかにして、国内外に研究成果を問うた。
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