戦後日本の華僑社会は台湾人が約半数を占め、かれらが指導権を握ったことにその特徴がある。台湾人は他の華僑社会にはほぼ存在しなかった固有の決定要因である。この研究では、中華民国政府の公文書と華僑社会に残された新聞雑誌の分析を通じ、その構造的再編のプロセスを明らかにした。一つに、日本統治時代に社会運動を経験した台湾人と大陸出身留学生を中心に、北京政府を支持する華僑社会の求心力が成長した点、また、日本の華僑社会は本国及び近隣国での政治対立からきわめて大きな影響を受け、他の華僑社会にはない問題が顕在化した。1950年代の華僑学校と華商団体を中心に華僑をめぐって国共両党が展開した争奪戦を検証した。
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