研究課題/領域番号 |
25370842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
武田 和哉 大谷大学, 文学部, 准教授 (90643081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 史料研究 / デジタルアーカイブ / 契丹 / 遼 |
研究概要 |
本研究の目的は、契丹国(遼朝)に関する新出現の遺跡・出土文字史料・文化財などを対象として、極力コストを抑えた手法を利用しつつ、研究資源として他の研究者も利用可能なアーカイブ化を行い、成果物として集成し公開することを目指すことである。近年の中国やモンゴル国において新たなこの契丹国に関する遺跡や文化財が続々と発見されつつあり、既存の文献史料等を補完するとともに、従来研究の成果を大きく変える可能性を有する重要なものが多くみられるが、残念ながらそれらに関する報告成果は少なく、さらに図面などの客観的な計測資料化もあまりなされておらず、学術成果として取り扱うには困難な状態にあるので、本研究はそうした面を克服する嚆矢となるべく計画・実施を目指している。こうした目的・方針に従い、2013年度は発足初年度でもあったので4月に研究打ち合わせ会議を行ったあと、各種史資料のアーカイブ化を目指す上で必要な知見や資料評価のための情報収集を兼ねて8月に海外出張を行い、さらに1月には研究集会を実施した。また、その後関係者で成果のとりまとめを行い、それらは所属機関の紀要に掲載されている(大谷大学真宗総合研究所『真宗総合研究所紀要』31号 所収)。その概要は以下の通りである。 2013年4月 研究班発足会議・打ち合わせ(於:大谷大学) 2013年8月 中国遼寧省出張(於:中国遼寧省遼陽市・瀋陽市・鉄嶺市・阜新市および北京市) 2014年1月 研究集会(於:大谷大学) 2014年3月 研究成果刊行(『真宗総合研究所紀要』31号)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は、まず5月までに研究班の立ち上げを行い、研究体制の確立と組織内での役割分担等や三カ年の計画の詳細について打ち合わせ会議を開催し決定する予定であったが、これについては予定より早く4月中に打ち合わせ会議を開催することができ、議論等を経て大筋の方向性を策定することができた。 また、今までに関係者が実施した内蒙古自治区および遼寧省管内の遺跡・文化財・文字資料データに関する調査と当該資料の精度分析を行い、それらに関して8月に現地に出張して当該データの確認および補足の情報収集、ならびに現地機関の関係者や専門家などとの意見交換などを行う予定であったが、こちらも蒐集したデータ数が若干予想を下回ったものの、現地出張を遂行して現地での情報収集や意見交換等は遂行できた。このほか、諸先学が日本国内に将来した契丹国に関する文化財や写真・図版・資料等の所蔵情報の収集等も進捗しており、資料の仮目録等の作成に至っている。 以上の作業を経て、年度末には成果評価の会議を実施し、研究班関係者ならびに外部の学識者などとの意見交換を行って、当年度の成果物をとりまとめる予定にしていたが、2014年1月に海外の研究者や日本史・仏教学などの隣接分野の研究者なども招いて研究集会を実施し、概ね当初の目的は達成できたと考えている。さらには年度末には研究班関係者らによる論文・研究ノート・資料紹介などの成果物5編を所属機関の紀要に掲載・公刊することができた。 ただ、データベースの仮運用等については、データ等を格納するサーバー配置等の物理的環境面での準備が整わず、今年度の着手は延期となっている。これについては、次年度に最重要課題として取り組む予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の活動としては、データベースの構築を最重要課題として予定している。その最初の段階として、平成26年度は研究班内で分担して各種史資料のデータ収集と一覧表の作成、およびそれらの入力を行うこととした。また、年度後半にはこれらデータベース公開のためのホームページの試作を計画している。 さらに、研究展開の過程で新たに認識された諸課題や、新たな史資料群の把握とデータ修正にも取り組む予定である。具体的には、契丹文字の書体データとその比較、および、契丹大蔵経の断片資料に関する所在目録の作成などを思慮している。これらについても、成果が見込めるようであれば、研究最終年度である来年度にとりまとめと公開などを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
データベース公開等に係る環境が整わなかったために、関係する経費の執行等を保留している点、また経費節減に努めた結果、予測より執行額が減ったなどの諸要因により、次年度執行額が発生している。 データベース公開等については、次年度以降に最重要課題として取り組むことで、関係予算等の執行が予定されている。
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