研究課題/領域番号 |
25370847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
小村 眞理 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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研究分担者 |
木澤 直子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組紐製作技法 / 古代アジア / 古代エジプト / ループ操作組紐技法 |
研究概要 |
資料の炭化が著しく、脆弱であるため詳細な観察が困難であったが、韓国国立慶州博物館所蔵天馬塚出土馬具の金具に伴う組紐の一部を観察することができた。またイスラエル考古局が所蔵する、ループ操作技法による最古の資料とされるティムナ出土組紐の実見を行った。当該資料については、エジプトの影響下で製作されたとの見解があるため、これに加えてPetrie 博物館(University College London)所蔵のエジプト出土品の調査を行った。 この他、図録等出版物に掲載されている写真資料の観察を行った。資料の実見に至っていないため断定は避けるが、ループ操作技法が存在したとすれば、中国出土品に、使用ループ数が偶数の4畝平組紐が存在した可能性が窺えるようになった。これまでに戦国から漢代に確認していた、ごく細い絹製の斜行組織(POT: Plain Oblique Twining 及びTLOI:Two Layered Oblique Interlacing)は含まれていない。素材の面でもウールを中心とした資料群であり、技法の発展や伝播の経緯を考える上で地理的歴史的に重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較言語学の立場から紡織技術の検討を試みた関連文献が少なからず存在することが確認された。 また、出版物等に掲載されている図版等の観察の結果、類似の技法によると考えられる場合でも東アジアとは異なった色柄の組紐類の存在が古代アジアに認められた。このことは技法の発展が素材の違いに影響を受ける可能性も含んでいるため、将来実物の観察によって検証を試みたい。
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今後の研究の推進方策 |
同様な資料群について、考察を進めている研究者との交流を図り、意見交換を行いたいと考える。交流を通じて問題意識を共有することができれば、より広い視野で各自の研究対象について理解を深めることが可能になると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
謝金の支出が予定ほどなかったため。 謝金および図書・文献の購入に充てる。
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