研究課題/領域番号 |
25370847
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
小村 眞理 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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研究分担者 |
木沢 直子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 武寧王陵出土品 / 4畝平組紐 / 慶州天馬塚古墳 / 威安34号墳 / 西域出土組紐 / 斜行組織 / 連結方法 / 2色ループ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、古代アジアの組紐及び初期織物製作と、基本となる紡織技術の起源や伝播について、相互の影響が想定される地域の資料調査と語彙収集を通じて理解を深めることである。 資料調査では、武寧王陵出土王の刀子(韓国国立公州博物館所蔵)を実見し4畝平組紐を確認した((独)奈良文化財研究所都城発掘調査部アソシエイトフェロー 金宇大氏、檀国大学大学院伝統衣裳学科研究教授 朴允美氏の協力による)。公州地域では最初の類例確認となった。又、威安34号墳出土環頭大刀(4-5世紀)(韓国国立金海博物館所蔵)の柄に巻かれた4畝平組紐を確認した(金海博物館金美道犁氏の協力による)。出土品からの組紐技法特定は困難なため断定を避けるが、文化的に相互の関連が認められる、日本列島と韓半島両地域に共通する、絹製組紐の武器・武具・馬具類への使用は、従来の認識よりやや時代が遡る可能性が生じた。更に朴氏からは、慶州天馬塚古墳出土馬具に関わる事例として、日本に類例のない断面の丸い組紐の存在についての貴重な情報提供を得られた。 上記も含め、ユーラシア出土の多様な紐類の素材や模様表出方法を比較検討した。その結果、西域から西アジア出土品に、古代韓半島・日本の武器・武具・馬具類の紐の種類や糸作りにおいて、また日本の初期仏教荘厳具に見られる組紐と意匠表現の特徴において共通点が見られ、ウールの技術の絹への伝播が推定された。 一方、古代中国鏡を中心とした兵庫県立考古博物館千石コレクションに、斜行組織(無地・2色ループによる文様のある組紐)が含まれていることを確認した。観察、記録を行い連結方法等について検討を行った。少なくとも中国戦国時代以来の、絹を用いた織成技術の一端について情報が得られた点有意義である。 語彙収集については、古代日本の染織技術関連用語を中心に抽出を試み、ユーラシアの技術や出土事例との関連について検討を行った。
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