本研究は、ハンガリー・ジャコバン主義が「王のいる共和政」思想から「王のいない共和政」思想へと転換する過程を解明した。つまりジャコバン主義者は、1793年夏にヨーゼフ主義の伝統に基づく「世襲王政の共和国」論がフランツ2世に拒否された結果、「王のいる共和政」論に深く失望した。同じ頃、フランスで急進的な人民主権を唱える1793年憲法が成立したほか、同年12月のトゥーロンの戦いでフランス共和派革命軍がナポレオンの活躍によって王党派に勝利した。こうした内外の形勢の変化を踏まえ、ハンガリー・ジャコバン主義者は1794年5月、フランス型の「王のいない共和政」論へと歩を進め急進化していくことになった。
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