この研究では、19世紀半ばから20世紀初頭にかけてのトランスナショナルな人道支援の発展のルーツを探ることを目的とした。とくにイギリスの実践に注目をして研究を進めた。1840年代後半にアイルランドで生じたじゃがいも飢饉に対するイギリスからの膨大な支援や、第一次大戦中にイギリス赤十字社などがベルギー人避難民やその他の戦災者に対して行った戦争チャリティ、そして大戦後にイギリス人女性の尽力によって発足したセーブ・ザ・チルドレン基金が展開した敗戦や飢饉で苦しむ子どもたちへの支援活動はどれも皆、国際的あるいはトランスナショナルな人道支援の起源におけるイギリスの経験の重要性を例証していることが分かった。
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