研究課題/領域番号 |
25370859
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 名誉教授 (40304068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ディアスポラ / ネットワーク / ジェンダー / 満洲 / 民族表象 / 植民地近代 / 越境 / 日常文化史 |
研究実績の概要 |
平成26 度は、日本、アメリカ、ロシアにおいて資料調査・収集と聞き取り調査、ならびに研究発表を行った。 東京では、4月に善隣協会で「満洲の中のロシア」と題して講演を行い、10月には日本大学で開催されたロシア史研究会に参加し、内外のロシア史研究者と知見を交換し、さらに、満洲からの引き揚げ女子であった相川和子氏に聞き取り調査を行った。札幌では7月に北海道大学で開催された国際シンポジウム「危機の30年:第一次~第二次世界大戦期ユーラシアにおける帝国・暴力・イデオロギー」に出席し、仙台では東北大学で国際研究集会「1920-30年代の旭東諸都市の日常文化史」、12月には山口大学で「東アジア地域における近現代史文書の国際連携ネットワークの構築」と題した国際会議に出席し、それぞれの会議で知見を交換した。 ロシアでは、10月にウラジオストクの極東大学で開催された国際会議「引き揚地ウラジオストク:在外ロシアの過去と現在」において「日本のマスメディアにみるハルビンの亡命ロシア女性」と題して報告し、内外の研究者と知見を交換した。さらに、満洲から引き揚げたウラジオストク在住の亡命ロシア女性ザルツカヤ氏に聞き取り調査を行った。 アメリカでは、ワシントンのナショナル・アーカイブと議会図書館で資料を閲覧・調査した。ニューヨークではコロンビア大学図書館のバフメーチェフ・アーカイブと、トルストイ財団アーカイブで資料を閲覧・調査した。ボストンにあるハーバード大学ではマップコレクションと燕京図書館で資料を閲覧・調査した。ハワイのホノルルではハミルトン図書館の亡命ロシアコレクションを閲覧・調査し、さらに満洲の林業王コワレフスキーの孫娘に聞き取り調査を行った。 カナダではトロント大学の東アジア図書館で資料を閲覧・調査し、満洲から引き揚げた亡命ロシア女性オリガ・バキチ氏に聞き取り調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシア、アメリカ、日本でそれぞれ満洲から引き揚げた女性に聞き取り調査を実施し、アーカイブでは当時の手記や手紙などの文字資料を閲覧することにより、必要な資料をおおむね順調に収集している。また、その成果の一部を2015年3月発行の雑誌『セーヴェル』31号で公刊した。
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今後の研究の推進方策 |
満洲から引き揚げた女性に対する聞き取り調査、ならびにアーカイブや図書館における手記や手紙などの文献資料発掘を続け、収集した資料を整理し、当時の新聞や雑誌とつきあわせる作業を継続するとともに、それらを分析した本研究をまとめる準備をすすめる。
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