2016年7月9日に伊賀上菜穂氏の科研(15K02263)と共同主催でハルビン・ウラジオストクを語る会の共催を受け、大阪大学において国際シンポジウム「女たちの満洲とその後」を開催し、第二部「国際対話:女たちの満洲:1945年を中心に」を組織した。日本居留民会の会長の孫娘と『アジアにおけるロシア人』の編集者で亡命ロシア人の回想を蒐集しているトロント大学のバキチ氏を招き、ソ連統治下における戦後の混乱期を生きる支えとなった日露のディアスポラ社会のネットワークについて語ってもらい、フロアの日露の満洲引揚者や研究者と国際対話をおこなった。 同年9月24日、The Second EAJS Japan Conference (於:神戸大学)でOrdinary Women in Extraordinary Times と題したパネルを組織し、自らもThe Imprisonment of women in Siberiaと題して報告し、戦後の混乱期におけるディアスポラ社会のネットワークについて内外の研究者と知見を交換した。 同年10月10日~27日までロシアに出張した。10月15日にロシア連邦スモレンスク大学で開催されたロシア女性史学会の歴史セッションで座長を務め、「日本赤十字社看護婦と家父長的天皇制国家」と題して、戦時下における看護婦のアイデンティティの変容について報告した。モスクワではロシア国立軍事公文書館とロシア連邦国立公文書館で1945年の満洲の情勢、ならびにソ連の捕虜収容所について調査・閲覧した。2017年2月7日~18日まで国立ハバロフスク地方公文書館で調査・閲覧した。 2017年5月発行の『セーヴェル』33号に「終わらない戦争・シベリア抑留:女たちのシベリア抑留」と題して、満洲からシベリアへ抑留された従軍看護婦のことをとりあげた。 ちくま学芸文庫「満洲事典」(2027年発行予定)に「ロシア語文学」と「亡命ロシア人」という項目を執筆し、ディアスポラ社会に於ける言語と文化の役割をみた。
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