本研究は、「シオニスト連合」とそれに対抗する「ユダヤ民族党」(ワイマル期)や「国家シオニスト組織」(ナチ期)という図式で、1919年から38年のドイツ・シオニズムの動向を、後2組織を率いたゲオルグ・カレスキーの思想や行動を分析することで解明した。 彼は、ワイマル期には、「ユダヤ民族党」の活動でドイツ国内でのユダヤ人の文化・社会的自治の強化を図った。ナチ期の彼は、一転して「国家シオニスト組織」によって、ドイツ・ユダヤ人社会の解体を自発的に主張したが、それは単なる転向ではなく、その事で長期間の解体過程とその間のユダヤ人のドイツでの民族自治をナチ政権から引き出すための手段であったことがわかった。
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