本研究は、ワイマル期ベルリンにおいて「酒場」を拠点として政治的街頭闘争が繰り返されていた点に着目し、この政治的暴力の実態を一次史料に基づいて明らかにすることで、ワイマル期における「酒場」と「街頭政治」の関係を検討することを目的としている。結論として以下の3点を指摘した。第1に、社会主義者鎮圧法の時期に社会主義労働運動によって政治活動の場として利用されることで酒場は政治化されたこと、第2に、ワイマル期後半には社会民主党に加えてナチスや共産党も独自の酒場を持つようになり、酒場が政治的に分極化していったこと、第三に、ワイマル期の政治的酒場が街頭での政治的暴力の拠点となっていたことである。
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