本研究は、帝政末期ロシアにおける初等後教育機関の社会的機能とそのジェンダー格差を、近代化にともなう民衆の職業教育機会の拡大、生徒の社会構成、学校教育をつうじた社会移動と身分・階層構造の再編という切り口から考察した。初等後教育機関は下層出身の男子や女子に知識や技能を伝達し、ロシアの急速な工業化に貢献する人材を養成した。さらに、民衆の社会的上昇機会を拡大させ、社会構成の再編成を促進した。このような学校の機能はロシア人の男子が通う学校で強く、初等後教育の拡張は教育におけるエスニシティやジェンダーの不平等を拡大した。
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