研究課題/領域番号 |
25370871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
那須 敬 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (40338281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 西洋史 / 文化史 / 音楽史 / イギリス史 |
研究概要 |
平成25年度は、先行研究の整理と理論構築につとめ、また一次史料調査については、約2週間半にわたるイギリスでの調査を行った。1620-50年代にかけての、ダラムおよびウスターの二つの主教座聖堂における、聖堂参事会、オルガニスト、聖歌隊、周辺教区のネットワーク、また地方・中央政治との関連に着目して、マニュスクリプト史料の調査・収集を行った。オクスフォードのBodleian Libraryを拠点として、ロンドンのBritish Library、Lambeth Palace Library、ウスターのWorcester Cathedral Libraryなどを使用した。具体的に調査対象とした人物・組織は、両大聖堂の参事会ほか、ピーター・スマート(ダラム)、トマス・トムキンズ(ウスター)などの個人に焦点を絞った。そのほか、Early English Books OnlineやState Papers Onlineなどの史料データベースを使い、デジタル形式で入手可能な史料の収集・整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調と言えるが、当初の計画であったダラムでの史料調査を行うことはできなかった。これは、ダラムの事例との比較対象として適切なウスター主教座聖堂の事例研究について新たな情報と着想を得て、先ずウスターでの第1回目の史料調査を行う必要があると考えたためである。
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今後の研究の推進方策 |
ダラム主教座聖堂のケース・スタディを継続する。また、ウスターとダラムの事例を、チャールズ1世親政期から内戦期にかけての中央政治に関連づける作業を行う。特に、1640年以降の議会による主教の弾劾、主教制の廃止、主教座聖堂の閉鎖、スコットランド教会との連携等の政策決定を、地方教会における礼拝音楽政策との関連において再検討する。また、宗教政策における議会の諮問機関であったウェストミンスタ神学者会議での「詩篇歌」の新規作成とこれをめぐる論争、また1643-44年の議会条例による偶像破壊と、各地の大聖堂・教会におけるオルガン撤去の実施についても調査し、革命政治と音楽の関係についての理解を深める。研究成果は研究論文によって発表しつつ、単著の執筆作業に取りかかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた出版物の刊行が遅れたこと、また3月に予定していた調査旅行を翌年度以降に延期したため。 今年度配分額と合わせて、書籍購入および調査旅行の海外出張旅費に使用する予定である。
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