研究課題/領域番号 |
25370874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
白木 太一 大正大学, 文学部, 教授 (50459252)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近世史 / 史料学 / ポーランド / 国際情報交換 / 西洋史 / 憲法史 / 議会史 |
研究概要 |
平成25年度は、平成25年10月末から11月初旬にかけてワルシャワに滞在し、ワルシャワ国立図書館において四年議会期(1788-92年)における中央議会の議事録を収集した。また四年議会に関連して、この時期に制定された1791年5月3日憲法に関する公共論の史料もワルシャワ大学付属図書館で収集した。また同図書館においてはポーランド最後の国王スタニスワフ・アウグストの『回想録』(最近アンソロジーがポーランド語で刊行された)のCDへの焼き付けを依頼し、入手した。 加えて、本研究テーマに関する書籍を収集し購入した。主な購入先はワルシャワのボレスワフ・プルス学術書店、書店レクシコン、東京のドナウ・トゥ・アムール書店である。 上記の手段で収集した資料をもとに、ポーランド国王スタニスワフ・アウグストの研究史の整理作業と、18世後半のポーランド議会史、とりわけ四年議会期の議会史の意義とその影響をまとめる作業を行い、その成果として平成25年12月に、「ポーランド史史料叢書」(東洋書店刊)の第1巻として1791年5月3日憲法に関する史料集・解説書『1791年5月3日憲法』を刊行した。本書は近代ヨーロッパ初の成文憲法である同憲法の全文の翻訳、憲法を取り巻くポーランド内外の状況の解説、憲法制定が歴史の記憶として後世にどのような影響を及ぼしたかの三章から成っている。18世紀後半のポーランドにおける公共論の変遷を知る上でも一定の意味を持つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたポーランドへの研究出張、ワルシャワの図書館での史料収集、関連書店からの書籍購入に加えて、18世紀ポーランドにおける公共論の中核となりうる1791年5月3日憲法に関する史料叢書を単著の形で公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は大正大学からサバティカルの許可を得た。そのテーマ「18世紀後半ポーランドにおける公共論の形成-地方議会と国民教育を中心にー」は本研究と重なるものである。そのため、秋季には18世紀ポーランド史研究の専門家であり本研究の協力者でもあるワルシャワ大学歴史学科のゾフィア・ジェリンスカ教授から、様々な具体的なアドヴァイスを受ける予定である。 また、18世紀ポーランドの公共論に関する最新の研究史と研究方法の習得を一層深めていく。本年度もワルシャワを中心とする文書館で18世紀の地方議会に関する古文書収集にも積極的に取り組むとともに、ポーランドの書店、古書店、図書館を中心として、研究論文、研究書の収集を引き続き行う。さらに研究成果の公表にも努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年10月末から11月初めにかけてのポーランドへの研究出張旅費の総額(航空券代金など)が当初見込んでいた額よりも少なかったことと、図書費の総計が予定額を下回ったため。 図書費の余剰が生じた件に関しては、今年度にそれを繰り越して購入する。また旅費に関しては今年度の計画の中で適切に配分して使用する。
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