トスカーナ大公国における封建貴族の役割を、16世紀から19世紀という長期的スパンで検討した。君主国が成立した16世紀から、トスカーナの封建貴族は当初は軍事職で、のちには宮廷職で活躍した。彼らは君主と密接な関係で結ばれ、君主にとって貴重な信頼できる臣下となった。しかし18世紀になると、封建貴族に圧力がかかるようになり、彼らの特権も侵害されていく。それでも彼らは軍事や宮廷の役職は保持し続け、行政職でも活躍した。1815年にはすべての封土が廃止されるが、その後も彼らは名士であり続けた。トスカーナの君主国の成立からイタリア王国の成立まで、封建貴族は常に指導的な役割を保持していたといえるだろう。
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