研究課題/領域番号 |
25370879
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
宮野 裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50312327)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中世ロシア史 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年来の課題である中世ロシアのいわゆる「府主教裁判法」それ自体およびその中世ロシア法における位置づけについての検討を論文として刊行した(「中世ロシアの府主教裁判法」『岐阜聖徳学園大学研究紀要教育学部編』54号)。様々な形でロシア法史上に位置づけられている同法は、そのメインストリームを飾るような法ではなく、むしろノヴゴロドや北方ドヴィナ地方などにおける、府主教キプリアンのエージェントの私的な参照書であるという結論に達した。 またこれに関連して、モスクワ歴史図書館、ロシア国立図書館、および北海道大学スラヴ研究センター図書室にて調査を行い、入手不能な文献の調査と読み込みを行った。さらに今後のテーマに当たるが、日本西洋史学会大会(於立教大学)セッションにて、動乱時代からロマノフ朝初期における国家と教会との関係について、さらにその法的側面について報告を行った。 また次の課題についても進展が見られた。モスクワ府主教キプリアン時代において、モスクワ大公ヴァシーリーと結ばれた協約や特権交付状の検討を行い、これらがドミトリー・ドンスコイ死後の両権力の関係性構築における第一歩になったことを述べられる目処が立った。これを論文に仕上げることが残った課題であるが、可能であれば、ロシア史研究会などで報告した上でまとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、所属大学におけるやや不定期的な業務をさらに複数担当した初年度に当たり、やや研究のペースが予想よりも遅れてしまった。とはいえ、研究自体は進んでおり、今年度中に結果を出すことは可能と考えている。秋口のロシア史研大会で報告し、仕上げをしようと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず現在課題としている14世紀末から15世紀初頭にかけての、中世モスクワ国家と教会との関係の法的取り決めについての研究を進める。これは昨年度からの継続課題なのでさして時間はかからないと思われる。秋のロシア史研究会大会で報告し、主張をブラッシュアップしたい。また一昨年以来、ロシア本国でロシア法に関する大部(35巻本)が刊行されはじめ、前近代についても5巻分の研究が出た。これの読み解き、再検討が一つの課題である。また、法的関係の形成について、13世紀中頃までさかのぼる研究があるので、その検討も課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目には請求額を必要経費に十二分に使用できたが、一年目の未使用分が部分的に3年目に持ち込まれることになった。一年目の分のロシアでの研修分を3年目に回すことを計画しているので、基本的には支出は計画通りと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
一年目に時間の都合上不可能になったロシア行きで繰り越し分を使い切ることが可能。
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