最終年度であり、計画に沿う形でこれまでの調査・分析成果の総合に努めた。2013年度のワカ・パルティーダ遺跡発掘調査で掘り出した壁画は、同じ遺跡で2004年・2005年に代表者が発見した壁画群および神殿建築と組み合わさり、一つの世界観を表していたことが判明している。その後、建築等の分析によって、建築や壁画の度重なる更新を介して世界観が修正されていった可能性も示唆された。また、平行して動植物遺存体分析も行っていたため、これらの結果を踏まえて、7月の中米エル・サルバドルでの国際会議では神殿の更新に伴う様々な儀礼的活動に関する考察、12月に開催された日本国内の学会では食文化・生業・資源獲得エリアに関する考察をそれぞれ発表した。また1月の東京での公開フォーラムでは、同時代他遺跡の調査成果との比較によって、より包括的な視座を提供することを試みた。 研究期間全体としても、概ね順調に成果をあげることができた。細部まで見渡すと、2013年度の発掘調査期間が予定より短縮されたことなどもあり、一部のデータ収集がうまく行かず、壁画製作技法に関する部分は研究が思うように進まなかった。その一方で、新たに発見した2面の壁画、建築と一体化した壁画群の解釈結果としての世界観、建築の更新と世界観の修正についての展望など、当初の予定を上回る成果もあがったと言える。
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