アンデス文明形成期(前3000年~前50年頃)の後半における宗教的指導者層の台頭過程を探るため、ペルー北部アンカシュ県海岸地方ネペーニャ川下流域に位置するワカ・パルティーダ神殿遺跡の第三次発掘調査を実施した。神殿頂上で多彩色壁画を2面発見し、これまでの調査で発見済みの壁画群と併せて、描かれたモチーフや建築上の位置関係などを分析した。その結果、神殿外壁には三層の世界観とそこに介入する宗教的指導者が表現されており、壁画製作が指導者の社会的台頭と結びついていた可能性が見えてきた。また各種出土遺物の一部も分析し、建築の更新活動に伴う儀礼や、海産物の流通についての新知見も得られた。
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