研究課題/領域番号 |
25370897
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
魚津 知克 大手前大学, 史学研究所, 主任 (70399129)
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研究分担者 |
長友 朋子 (中村 朋子) 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (50399127)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 鉄製農具 / 鉄製工具 / 技術学 / 復元実験 / 社会組織 |
研究概要 |
本研究は、弥生時代後期から古墳時代前期にかけての農具と工具の技術の具体像を、木器や骨角器に残された加工痕から読み解くものである。平成25年度は、代表者・分担者間のミーティングを計2回おこないつつ、資料調査を適宜実施し、以下の成果を得た。 【木器加工痕の記録化】 宮城県仙台市中在家南遺跡等出土の木器加工痕を記録化し、農具・工具の技術を正確に把握する基礎資料を蓄積した。 【木器製作工具の復元】 鉄製工具のうち、これまで出土例の形態的特徴を十分反映した復元品製作がなされていない鋸の復元をおこなった。博物館展示のための復元品製作を行なっている技術者と、十分な打ち合わせをおこないつつ進めた結果、多くの新知見を得ることができた。 【技術の社会的要因の考察】弥生時代から古墳時代に移行する時期の農具・工具の技術の社会的背景について考察をおこなった。特に、長距離交易と鉄器化との関連性について、代表者・分担者が同一セッションに属する国際学会発表をおこなうことで、外部の研究者も交えた研究論点の検証を可能とした。 本年度は研究初年度であったが、従来の研究論点を技術学的観点から検証し、この時期の日本列島における社会の複雑化に技術革新が果たした役割を明らかにする第一歩としての研究成果を公表することができた。あわせて、時代や地域に限定されない、技術学に関心を持つ研究者の意見交換の場の構築をいかにおこなうべきかについての見通しを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度ということもあり、成果発表は学会発表に限られた。しかし、国外の学会発表では多くの研究者と研究テーマについての意見交換をおこなうことができた。今後の大幅な研究進展に向けての基盤を構築することが可能になったため、この区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
木器加工痕資料に集中したため、骨角器加工痕の様相を示す資料の調査がやや手薄である。 今後はこの点に留意していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
鋸の復元について、先述のように復元製作技術者と、十分な打ち合わせをおこないつつ進めた結果、成果物の納入が年度をまたぐ結果となったため。 成果物納入は今年度初頭に完了しているため、多少のタイムラグはありつつもほぼ計画通り使用している。
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