高精細デジタル画像とマイクロスコープ画像を利用し、泉屋博古館、黒川古文化研究所、白鶴美術館、根津美術館、寧楽美術館にそれぞれ所蔵されている殷周青銅器およそ140点以上の銘文文字について、そのごく細部の形態を検討した。その結果、文字施文の形状にいくつかの形式が存在することが明らかになった。さらに時期毎の文字施文の状況を把握することによって、その施文形式の系譜をたどった。そしてとくに殷墟期および戦国期では、文字の製作に複数の技法が併用されていたこと、そしてそのうちのひとつに消失原型を利用する方法が継続的に採用されていたことを確認することができた。
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