研究最終年度となる平成27年度は、主に東北地方・関東地方・北陸地方・東海地方・中国地方・九州地方南部等における洞穴・岩陰遺跡における調査を実施した。 具体的には布佐洞窟(岩手県一関市)、熊石洞窟・風穴洞窟・アバクチ洞窟(岩手県花巻市)、小松洞洞穴・蛇王洞洞窟(岩手県住田町)、女神洞窟(岩手県陸前高田市)、関谷洞窟岩手県(大船渡市)、瓢箪穴洞窟・龍泉新洞(岩手県岩泉町) 、五松山洞窟(宮城県石巻市)、高畠洞窟遺跡群(山形県高畠町)、岩井堂洞窟(秋田県湯沢市)、塩喰岩陰(福島県西会津町)、妙音寺洞窟(埼玉県皆野町)、神庭洞窟・橋立岩陰(埼玉県秩父市)、小瀬ヶ沢洞窟・室谷洞窟(新潟県阿賀町)、黒姫洞窟(新潟県魚沼市)、九合洞窟(岐阜県山県市)、港町岩陰(岐阜県美濃市)、岩井戸岩陰(岐阜県関市)、帝釈峡遺跡群(広島県庄原市・神石高原町、岡山県高簗市)、黒川洞窟(鹿児島県日置市)・片野洞窟(鹿児島県志布志市)・土浜ヤーヤ洞窟(鹿児島県奄美市)において、洞窟・岩陰本体及び周辺地形の測量調査や、洞窟・岩陰の成因・湧水の有無・植生など周囲の環境調査も実施した。 またこれに加えて、東北歴史博物館(宮城県多賀城市)、長岡市立科学博物館(新潟県長岡市)、岐阜県博物館(岐阜県関市)、庄原市帝釈峡博物展示施設時悠館(広島県庄原市)、吹上町歴史民俗資料館(鹿児島県日置市)、鹿児島県歴史資料センター黎明館(鹿児島県鹿児島市)などにおいて前述の洞窟・岩陰遺跡出土考古資料の実見調査も実施した。 これらの一連の調査により、概ね東北地方から一部島嶼部も含む九州地方に至る日本列島ほぼ全域の旧石器時代・縄文時代(草創期・早期)における人類の洞窟・岩陰利用の傾向を把握するための基本データを揃えることができた。
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