研究課題/領域番号 |
25370910
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
橋村 修 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00414037)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 雑魚 / 地魚 / 漁業 / 消費 / 地域文化 / 回遊魚 / マルタ / 東日本大震災 |
研究概要 |
本年度は、地魚と雑魚をめぐる漁撈活動と利用の実態把握を目的とした調査研究を、国内と国外で実施した。国内では、8月に北海道南部の日高地方と東北地方の青森県、岩手県、宮城県の沿岸部の調査を実施した。日高のえりもでは、昆布の資源利用や沖合サメガレイやタラの底引き漁業の実態、えりもの住吉神社と漁業者との関係の歴史、温暖化によるブリやシイラなどのようないつもの年だと回遊しない魚の出現などの環境問題について調査した。三陸沿岸では、青森、岩手、宮城の大震災時の津浪による被災状況の地域性や回游魚シイラの利用を調査し、シイラについては気仙沼や山田でのマンビキの呼称が九州からのカツオ一本釣漁船の長期出漁と関係することを知ることができた。2月末には沖縄本島国頭村などを訪問し、漁協による定置網設置による地魚販売と市場食堂による食事の提供の動きを調査した。雑魚を地魚だと見なして、地域活性化につなげる動き、伝統的な追い込み網漁業(アギヤー)の復活を知ることができた。3月には富山県富山市と魚津市の漁村において、定置網、フクラギ漬漁業、シイラ利用の地域性について調査を実施した。 海外調査は、10月にマルタを訪問し、シイラ(ランプーキ)漁の拠点である漁村のマルサシュロックとゴゾ島イムジャールに滞在し、漁師への聞き取り、漁業の参与観察、マーケット調査、首都バレッタ地区での魚食普及を目的としたシイラ祭り等の資料調査を実施した。マルタ水産庁においては、専門家への聞き取りと浮き漁礁利用に関わる資料調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の研究実施計画のうち、海外のマルタでは実施することができた。国内では研究実施計画にあった西日本地域での調査ができなかったが、東日本大震災被災地の調査を優先する観点から、一部フィールドを変更して調査を実施した。そのため、西日本に偏りがちであった研究フィールドが東日本にも拡大することになった。結果として本研究の土台が広がり、有益な視点と成果をもたらすことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度の調査地を再度訪問し、昨年度に学んだ課題を究明することがあげられる。また、研究成果の執筆・投稿を積極的におこなっていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度前半の4月から8月までの間に研究代表者の家族に病気、不幸があったため、研究に従事できにくい状況が続いたことによる。 前年度に実施できなかった調査研究と整理を実施するために、旅費と謝金(資料整理費)に使用する計画である。
|