本研究の目的は、1990年代以降の経済不況期において、東北地方の山村地域の経済社会がどう変貌したかを明らかにすることである。3年間の研究期間において、岩手県岩泉町、秋田県上小阿仁村、そして福島県伊南村(現・南会津町)の3つを対象地域として、現地調査を進めてきた。調査の結果、かつて山村を支えた産業基盤は崩壊し、就業構造は大きく変化したことが把握できた。世帯の再生産があまり進まない中でも、一部世帯では、遠距離通勤により世帯維持を図っている。また全体的に高齢化が進み、村落共同体は弱体化してきたが、個々の高齢者世帯を支える、転出子ども世代を含むネットワークの存在が確認できた。
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