研究課題/領域番号 |
25370913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
原 真志 香川大学, 大学院地域マネジメント研究科, 教授 (40281175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンテンツ / 映画 / ハリウッド / クラスター / プロジェクト / グローバル / 時限組織 / CG |
研究概要 |
本研究は、グローバルにクラスター間をつないで行われるコンテンツプロジェクトのマネジメントが、時限組織ベースの企業間ネットワークの場合と企業内空間分業の場合でどのような違いがあるのか、その違いが、プロジェクトに参加する企業、個人、また各クラスターにどのような影響を与えているのかを、ハリウッドとそれに関係する日本を含む複数の国の事例によって分析し、明らかにすることを目的とする。 上記目的を達成するため、初年度には以下の3つの調査を実施した。第一に米国ロサンゼルスにおいて、ハリウッド映画プロジェクトのVFX の中心的役割を果たすキーパーソンとしてフリーランスVFX スーパーバイザーであるKevin Tod Haug氏、Pixomondo社で映画「ヒューゴの不思議な発明」のVFXスーパーバイザーを務めたBen Grossman氏に対して現地ヒアリング調査を実施した。特に、Kevin Tod Haug 氏に対しては年間コンタクト行動に関する補足調査を行ってデータベースを整備し分析を行った。第二にハリウッドから受注している日本のCG 企業として、ポリゴンピクチュアズ社の塩田周三社長に対してヒアリング調査を行った。特に、CGの学会兼展示会であるSIGGRAPHのアジア版であるSIGGRAPH ASIA 2013(香港にて開催)において、塩田氏がオーガナイザーを務めたビジネスシンポジウムに参加し、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど東南アジアにおける塩田氏のビジネスパートナーに対するヒアリングを行うことができた。第三に、東京ベースのVFXスーパーバイザーである松野美茂氏に対してコミュニケーション行動に関する半リアルタイム定期調査法による長期継続調査を実施した。上記の研究の一部は、2014年春季の日本地理学会で研究報告を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロサンゼルスにおける調査、東京における調査は、概ね予定通りに実行できている。そう評価する理由は以下の通りである。 1)Kevin Tod Haug氏、松野美茂氏の長期コンタクト行動のデータを入手・補足することができた。Kevin Tod Haug氏の年間コンタクト行動の分析結果を、2014年春の日本地理学会で研究報告している。 2)OLMデジタルの安生氏に対する調査は、アナハイムで開催されたSIGGRAPHでのヒアリングで準備段階にとどまったが、ポリゴンピクチュアズの塩田氏に関しては香港開催のSIGGRAPH ASIAでのビジネスシンポジウムで計画以上の成果を得ることができ、次の調査のベースをつくることができた。 3)映画「ヒューゴの不思議な発明」のVFXスーパーバイザーを務めたBen Grossman氏はPixomondo社を退社していて当初計画を若干変更すべき状況が生じているが、ハリウッドにおける直近のCG産業の厳しい状況とその対応の現段階について貴重な情報を得ることができ、さらなる研究への協力を取り付けることができている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果をベースに、さらに計画に沿って研究を進めていく。予定外に入手できた情報と人脈を活用して研究の充実を図る一方、ハリウッドのCG産業は厳しい状況を迎えており、そのことを踏まえて研究を進めていく。ハリウッドベースの有力なCG企業は軒並み倒産や倒産の危機に瀕しており、企業内空間分業は新たな局面を迎えていて、これまでハリウッドのサテライトとして補完的位置づけであった後発のクラスターが今まで以上に注目されている。そうした新しい状況を踏まえ、2014年にSIGGRAPHが開催されるバンクーバーでの調査を行うなどの対応を講じることを検討している。
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