本研究の目的を達成するため、3年度目にあたる平成27年度には以下の調査を実施した。第一に、2015年8月にロサンゼルスで開催されたCGの学会兼展示会であるSIGGRAPHに参加し情報収集を行った。近年、バンクーバー等の成長に比べ、ロサンゼルスは老舗企業が相次いで倒産するなど停滞状況にあったが、VR、AR、360度映像をめぐって新たなプロジェクトが活発化している状況に関する最新の情報を得ることができた。この際、OLM Digital社の安生氏、ポリゴンピクチュアズ社の塩田社長に対してもヒアリングを実施することができた。さらに、ロサンゼルスにおいて現地調査を実施し、従来のCGやアニメに関する企業に加え、VR、AR、360度映像に関係する企業・NPO等にヒアリング調査を行った。 第二に、平成26年度に引き続き、近年ハリウッド映画産業の中で成長が著しいカナダのバンクーバーにおいて現地調査を実施し、バンクーバーのさまざまなCG企業、映画支援組織、大学研究機関などにヒアリング調査を実施した。その結果、バンクーバーにおけるコンテンツ産業の成長に関する最新情報、大学等を中心とした地域的な取組みに関する情報を得ることができた。 第三に、2015年11月に日本の神戸で開催された、CGの学会兼展示会であるSIGGRAPHのアジア版であるSIGGRAPH ASIA 2015に参加し、アジアにおけるクラスター間コンテンツプロジェクトに関する情報収集を行った。再度ポリゴンピクチュアズの塩田社長に対するヒアリングを行うことができた。VR、AR、360度映像をめぐる日本やアジアの動向についての最新情報を得ることができた。 第四に、東京ベースのVFXスーパーバイザーである松野美茂氏に対して新規プロジェクト開発に関する長期継続調査を実施した。 上記の研究の一部は、2016年春季の日本地理学会で題目「『破壊的』技術の経済地理学に向けて: VR,AR,360度映像の多産業活用を事例に」として、研究報告を行っている。
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