研究課題/領域番号 |
25370916
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
宮町 良広 大分大学, 経済学部, 教授 (50219804)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済地理学 / 対日直接投資 / 地方経済 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
日本国内での聴き取り調査として、地方に進出済みの外資系企業に対して訪問調査を行った。マスミューチュアル生命保険(株)は、米国に本社を置くマスミューチュアル・フィナンシャル・グループの日本法人であり、国内では東京と福岡の二本社制をとっている。訪問調査では、進出の経緯,事業概要,地域経済への波及効果等について、担当者にインタビューを行った。その結果,同社は旧平和生命保険を母体とすること、買収後は個人営業を縮小して代理店などの法人営業にシフトしたこと、福岡への進出の主たる理由は、保険会社にとって不可欠な災害時の事業継続体制の構築および優秀な若手人材の採用にあること、進出先の選定にあたり福岡市役所の誘致が寄与したこと、ICTの積極利用により東京本社との遠隔業務に支障は小さいこと、アメリカ親会社とは定期的な連絡を取ることで支障がないことなどが明らかになった。 また前年度に引き続いて、世界の対内直接投資および対日直接投資に関する文献および統計資料を収集し、それらの分析を順次実行した。その結果、投資地域は東京圏に一極集中していること、関西圏や名古屋圏には投資が少ないこと、それら三大都市圏を除く地方圏では福岡などの地方中枢都市に若干の投資が見られるものの、それ以外では投資が著しく限定されていることなどが明らかになった。行政の誘致政策については、中央政府(経済産業省、JETROなど)は極めて積極的であるものの、地方では大都市を除き活動が停滞していることが明らかになった。 研究成果の発表に関しては、前年度までに行ってきた口頭発表をベースとして論文を執筆し、公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画で予定していた日本国内での訪問聴き取り調査は、相手方の都合により、1社しか実施できなかったが、文献および統計資料の収集と分析をほぼ予定通り実施し、かつ有益な情報を得ることができた。さらに研究テーマに関する研究成果を論文として公刊できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、前年度に見送りとなった外資系企業に対する訪問聴き取り調査、およびこれまでの研究の取りまとめを行う。国際的水準で研究を遂行するため,海外専門家の研究レビューを受けるとともに、国内外で開催される地理学関連学会において最終の研究報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の用務での出張の際に資料収集を行うことで,旅費を節約した。また国内での訪問聴き取り調査のうち、外資系企業へのインタビュー調査が、日程調整の結果、平成29年度に繰り延べせざるを得なかったから。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に計画していたが未実施だった訪問聴き取り調査の実施や、文献資料等の購入、国内外で開催される地理学関連学会における研究報告に使用する。
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