研究課題/領域番号 |
25370919
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
井上 孝 青山学院大学, 経済学部, 教授 (10211749)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 将来人口推計 / GIS / 小地域 / 人口減少 |
研究実績の概要 |
研究計画書に記述した3つの活動の順に説明する。 まず第1の活動は、地域人口分析に関する研究成果を論文として執筆し複数の学会で発表することである。これについては、小地域の人口推計に関する新しい手法についてワーキングペーパーに英文としてまとめ、また、その手法に関する種々の考察について国内の3つの学会にて報告を行った。 続く第2の活動は、地域人口分析に関する自治体支援システムの構築を進めることである。これについては、ある民間団体が自治体単位の将来人口推計結果を公表したことを契機に、日本の地方自治体の関心が将来の人口減少にほぼ集中しつつある現状に鑑み、地域人口分析に関する包括的なシステム構築ではなく、小地域単位の将来人口推計システムを構築する方針に変更した。こうしたシステムは現在日本には存在しておらずきわめて価値あるものと考えることができる。このシステムの構築にあたっては、第1の活動で述べた小地域の人口推計に関して新たに開発した手法を最大限活用することとした。また、同システム構築にあたっては、上記の手法をGISに応用する点、またウェブ上へ公開する点等については、専門業者の助力が必要なため、GIS地域人口分析の分野において日本でトップクラスのコンサルタント能力を有するESRI JAPAN社と契約を結び行うこととした。その結果、初期バージョンのコンテンツを作成するまでに至った。 最後の第3の活動は、日本人口学会開催時に「第4回 地方行政のためのGISチュートリアルセミナー」を開催することである。これについては、明治大学で無事開催することができ多くの自治体関係者に地域人口分析のノウハウを提供することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目的に記した自治体支援システムの構築については、当初想定した包括的な地域人口分析システムとは異なるが、小地域単位の将来人口推計システムのコンテンツ(初期バージョン)を作成するに至った。このシステムは、上記の研究実績の概要にも記したように、自治体の関心が急速に将来人口推計に向かいつつある点に鑑みれば、包括的な地域人口分析システムよりも有用である。コンテンツ作成は平成27年度中の作業完了を目指していたが、小地域の人口推計に関する新しい手法を当初の予定よりも早く開発できたため、結果的にコンテンツの作成も早まった。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、自治体支援システムとしての小地域単位の将来人口推計システムについてはそのコンテンツの初期バージョンが完成した。今後は、コンテンツの信頼性をより高めるための計算プロセスの改良、同システムのウェブ公開に関するセキュリティの向上、同システムのインターフェイスの改良(英語バージョンの作成を含む)等のシステムの改良を進める。また、2つの国際学会にて、小地域の人口推計に関する新しい手法とそれを用いたウェブシステムの概要に関して報告を行う予定である。また、新たに開発した手法については国際誌への投稿の準備を進めたい。さらに、「第5回 地方行政のためのGISチュートリアルセミナー」も実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
小地域単位の将来人口推計システムを構築するにあたっては、平成26年度はそのコンテンツの初期バージョンの作成に注力し、ESRI JAPAN社とのコンサルタント業務契約についてもそのようなコンテンツの作成までとした。しかし、同社との契約に関する事前交渉の過程において、同コンテンツを安全にグローバルに公開するためには、さらに、セキュリティの向上、インターフェイスの英語化などの作業を必要とし、さらに計算手法の改良を行ったほうがよいとの結論に達した。これらの作業は、平成26年度中に終了することは時間的に困難であることが予想されたため、平成27年度において新たな契約を結んで行うこととした。次年度使用額はその契約のための一部として確保した。
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次年度使用額の使用計画 |
上述したようなESRI JAPAN社との新たなコンサルタント業務契約に数十万円を使用する。また、オーストラリア・ブリスベンで開催されるICPG、およびロシア・モスクワで開催されるIGCの2つの国際学会にて研究成果の報告を予定しており、これについても数十万円を使用する。
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