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2013 年度 実施状況報告書

ワークライフスタイルの選択からみた少産少死世代の都心居住

研究課題

研究課題/領域番号 25370922
研究種目

基盤研究(C)

研究機関明治大学

研究代表者

川口 太郎  明治大学, 文学部, 教授 (90195058)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードワークライフスタイル / 少産少死世代 / 都心居住 / ライフコース / 居住地選択 / 子育て / 共働き
研究概要

本年度は東京都荒川区南千住8丁目のマンション住宅地において,アンケート調査と聞き取り調査を行った。同地区には2005~2009年にかけて入居した30~40歳代の団塊ジュニア世代を中心とする子育て世帯が多く住んでおり,また働く女性が多いのも特徴である。
アンケート調査は,家族歴や居住歴,職業歴から住民特性を把握することを目的とし,2013年10月,日本郵便のエリアメールを利用して同地区にある民間分譲マンション全棟に調査票を配布し,後日郵送にて回収した。配布2,529通,有効回答238通,回収率は9.4%であった。アンケート調査からは以下の点が判明した。①出身地は夫婦とも荒川区とその周辺地域が多く,また両親の居住地も比較的近くに集まっている。住まいの探索にあたっては荒川区をはじめとする東京都東部や千葉県が主な候補地となり,最初からマンションを念頭に置いていた世帯が多い。住み慣れた環境,親や親族との行き来のしやすさが居住地の選択の大きな要因となっている。②住居の選択に際しては勤務地までの距離と子育て環境を指摘する割合が相対的に高く,共働きの子育て世帯が就業環境と育児環境を考慮して選択した住宅地であることが確認された。
聞き取り調査は,上記アンケート調査で協力を募った中から6世帯の子育て世帯に対し2014年2月上旬,住まいの選定や日常生活の役割分担などについて,アンケート調査では把握できない個々の事情について聞き取った。サンプル数が少なく,あくまで次年度以降の予備的な調査にとどまるが,夫の年収がそれほど高くないため妻のフルタイム就業継続が必須であること,荒川区の保育所政策が充実しているためか「保活」のニュアンスはそれほど高くないこと,両親(母親)だけでなく姉や妹などの親族サポートも重要であることなどが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた初年度の調査は完了し,また次年度の分析に向けたデータの蓄積も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

初年度の調査は包括的な状況把握に重点を置いたが,本年度以降は,聞き取り調査をもとに,個々の世帯の住まいの選択をワークライフスタイルの選択という観点から明らかにし,明示的・黙示的に示される人生設計のなかに住まいの選択を位置づけていく。具体的には以下の3つの対象を想定している
第1に,仕事と家事・育児の調整がとりわけ先鋭的に表れると考えられる共働きの子育て世帯に対し,妻の就業状況や勤務先の保育に関する福利厚生とともに,保育サービスの受容状況や家族・親族・友人などのサポート状況について聞き取っていく。第2に,主に専業主婦世帯を念頭に,地域内にあるマンション集会所を利用した子育てサロンおよび行政による子育てサロンの利用者に対し,上記共働き世帯と同様の内容で聞き取り調査を行う。第3に,初年度に実施したアンケート調査の対象者に対し,住居選択とワークライフスタイルの選択がどのように結びついているのかについて,内面的な意識を聞き取っていく。少産少死世帯や子育て世帯に限らず,幅広い世帯の住まいの戦略を明らかにするのが目的である。
また,不動産経済研究所『全国マンション市場動向』のデータをもとに,東京圏におけるマンション立地の地域構造を明らかにし,住宅市場における対象地域の位置づけを行う。これらのデータは初年度にデータベース化が完了しているので,上半期中には結果を得る予定でいる。そして調査で得られた結果をもとに,対象地域に住む少産少死世代の居住地選択を考察し,それが新しい時代・世代のライフスタイル戦略の一部であることを示すとともに,大都市圏の居住地域構造に及ぼす影響を検討する。

次年度の研究費の使用計画

年度末に実施した作業等にかかる費用が次年度の収支に計上されるため。
前年度の支払いが年度を越えて実行されるものであり,当年度の計画に変更はない。

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公開日: 2015-05-28  

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