研究課題/領域番号 |
25370922
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
川口 太郎 明治大学, 文学部, 教授 (90195058)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ワークライフスタイル / 少産少死世代 / 都心居住 / ライフコース / 居住地選択 / 子育て / 共働き |
研究実績の概要 |
本年度は,研究対象地域において聞き取りを中心に調査を実施した。聞き取り調査の対象は,第1に,当該地区に住む子育て世帯であり,前年度に行った住民アンケート調査で募った協力者(7世帯)および子育て交流施設に来館した父母(36人)に対し,住まいの選択や仕事と家事・育児の分担などについて聞き取った。第2に,当該地区で子育て支援を行っている各種施設や組織であり,保育園や子育て交流サロン,区役所・社会福祉協議会などに対し,施設のサービス概要や当該地区の子育て環境について聞き取った。加えて第3に,東京丸の内にある一部上場企業に働く子持ち女性社員に対し,職業キャリアの形成と子育ての両立についてアンケート調査(回答16通)とインタビュー調査(4人)を実施した。 これらの調査から示唆されたのは以下の点である。第1に,少子化がすすみ子育て支援に対する社会的理解が浸透するようになった2000年代前半を境に,女性の働き方が大きく変わった。以前は,私生活を犠牲にしてもキャリアの継続を優先する「バリキャリ」か,さもなければ仕事を辞めて子育てに専念するかの二者択一しかなかったが,以降は,仕事を育児の両立をはかる「ゆるキャリ」が許容されるようになり,仕事を辞める女性が少なくなった。第2に,とはいうものの,南千住には仕事と育児の両立を断念して,子育てに重点を置く生活に転換する女性が多い。荒川区の子育て支援は充実しているにも拘らず,こうした選択を行う世帯が多いのは,当該地区が民間の分譲マンション主体の再開発地区であり,比較的生活に余裕のある世帯が多く入居していることが反映されているものと思われる。第3に,居住地の選択に親(とくに妻方)との近接が考慮される傾向があるものの,日常的なサポートを依存するような関係にはない。近居はいざというときの「保険」として機能していると考えた方がよいと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた調査は完了し,加えて企業でのアンケートやインタビュー調査をすることができ,次年度のとりまとめに向けて多くの収穫を得た。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度にあたり,これまでの調査で蓄積された知見を取りまとめることになる。 連携研究者との会合を密に開いて意見を交換するとともに,アンケートやインタビュー調査で得られた一次情報とより客観的・マクロなデータを接合し,議論の一般化を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
連携研究者との打ち合わせを学会にあわせて行い,所属機関が支弁する旅費でまかなったため,旅費に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせの機会を増やし,その際の旅費に計上する。
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