研究課題/領域番号 |
25370924
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
SCHLUNZE R.D 立命館大学, 経営学部, 教授 (70319599)
|
研究分担者 |
ウィリアム ベイバー 京都大学, 経営管理大学院, 特定准教授 (70573012)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 文化変容 / 立地選好 / Guanxi / ネットワーキング / 異文化能力 / 認知スタイル |
研究概要 |
本研究はグローバル化時代における外国人マネジャーの役割についての理解を深めることを目的としている。調査結果から、米国人マネジャーはグローバルにビジネスを考えている一方、中国人マネジャーは現地のネットワークを重視し、日中関係の改善に努力する傾向があることがわかった。 はじめに、異文化能力、および企業環境、市場環境、生活環境における立地選好とネットワーキング活動を調査分析することで外国人マネジャーの成功を検証するというモデルを開発した(SIEMモデル)。在日アメリカ商工会議所、LinkedIn、日本中華総商会、東洋経済外資系企業総覧の名簿をもとに米国人マネジャーおよび中国人マネジャーに対してアンケート調査を実施し、回答者のうち数名にはインタビュー調査も実施した。それらの調査結果をSIEMモデルに基づき分析した結果、以下の点が明らかになった。 ・米国人マネジャーは、サポートや情報を得るために強い外国人ネットワークを持っているが、日本人との接点は少なく、ネットワークは弱い。 ・日本で教育を受けた中国人企業家は異文化能力が高く、文化変容も進んでいる。一方、中国多国籍企業から派遣されたマネジャーは文化適応がうまくいかず、欧米人に似たパターンをしている。 ・中国人マネジャーはビジネスの現地化を目的とし、市場環境における顧客との関係と人的資源へのアクセスに対して緊張感を持って維持強化に努めている。 ・中国人マネジャーはGuanxiによって現地ビジネス環境でのビジネスを持続可能にしている。日中間の政治的関係の悪化に伴い困難や排除を経験することでより一層Guanxiのつながりを強めているが、そこには日本人も含まれている。東京という立地に対する選好はかなり強いものの、グローバルにビジネス関係を広げているという人は少ない。分析から、Guanxiと経営パフォーマンスには明らかな相関関係があることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在日アメリカ商工会議所および日本中華総商会の協力を得ながら、在日アメリカ人マネジャーに対するオンライン調査、および在日中国人マネジャーに対するアンケート調査、それぞれに対するインタビュー調査を順次実施している。
|
今後の研究の推進方策 |
2013年度、日本中華総商会(CCCJ)の協力を得て、同会メンバーの中国人マネジャーを対象に郵送でアンケート調査を実施したが、仮説に基づく分析のためには回答数が不十分であった。この問題を克服するため、今年度中にCCCJの機関誌に関連論文を掲載してもらい、会員である中国人マネジャーたちの本研究に対する関心を高め、より多くの協力が得られるようにしたい。合わせて、より簡単に調査に参加できるよう、中国語版のオンラインアンケートの準備を進める。 アメリカ人に対する調査ではさらにオンラインアンケート回答数を増やすため、在日アメリカ商工会議所でのセミナーを企画している。 これまでに実施したものを含め、インタビュー調査はケーススタディーとしてまとめる。 本調査の最終段階では我々のオリジナルの分類であるハイブリッドマネジャーと派遣マネジャーそれぞれの特徴に合ったマネジャーを集め、パネル調査を実施したい。それにより、調査した全員の代表といえる結果を導き出せるだろう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
都合により海外出張を1件とりやめたことが主な理由。 海外の研究協力者と国際会議でワークショップを開催するため、その研究協力者の旅費および会議参加費。 新たな研究協力者の調査参加に関わる費用。
|