本研究の目的は、史資料の乏しい途上国地域の手工業生産・産地を解明する方法を検討することである。第一に、途上国(特にイラン)の手工業研究の批判的再検討を行なうために、まずイランおよびオスマントルコ地域の手工業研究を事例に既存研究の批判的整理をおこない、既存の研究の問題点などを把握、指摘した。第二に、第一の作業をおこなった上で、イラン東部(ヤズド州を中心とする)をフィールドとし、聞取り調査や文書調査からは解明が難しいズィールー(手織りの綿製敷物)産地の歴史について現地調査を実施することで検討・考察した。
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