本研究は文献史学と考古学の分野で主に進められてきた、古代朝鮮における陸上交通路の復原について、20世紀の日本で行われてきたように、歴史地理学の立場から再検証し、さらに復原研究の前進を企図したものである。 主として新羅の事例を取り上げたが、①三国時代(四方郵駅)と統一新羅(五通)において、双方の連続性を強く持ちつつも、異なる原理と路線数の道路体系が存在したこと、②副都たる五小京の立地及び州郡県の領域設定は道路体系に強く規定されたこと、③日本以上に中近世道路体系との連続性(路線・制度)が認められること等が明らかになった。
|