本研究では、何よりもまず『弔いの文化史-日本人の鎮魂の形』(2015年)を刊行し、研究成果を社会に向けて幅広く発信できたと考える。本書および本研究では、第1に、弔いに関するこれまでの歴史民俗学的研究を踏まえて、弔いの作法の歴史的な変遷を分析し、“弔いの民俗史”を考察した。第2に、遺影がプライベートな領域からパブリックな領域へと展開する軌跡から構成される“遺影の故人史”から “弔いの文化史”を明らかにした。第3に、念仏踊り・盆踊りは生者と死霊が成長・成熟するための共同の営みだとする、折口信夫の民俗芸能論に依拠して“弔いの芸能史”を構想し、弔いの作法を探究した。
|