近年、現代アート制作と先史文化研究の間に、「境界横断的」な新種の相互作用が生じ始めている。第一に、現代アート(作品および制作プロセス)を参照して先史文化を理解する考古学の試みであり、第二に、先史文化を用いての現代アート制作である。本研究は、縄文遺跡が存在する国内5地域および比較のための海外2地域において、(A)先史文化と現代アートを同時に視野に入れた展覧会、(B)組織者の見解、(C)参加したアーティストの活動等を対象に文化人類学的実態調査を行い、その結果、先史文化が現代社会にとってもつ意味を模索する考古学的試みにおいて、現代アートが可能性のあるパートナーとして現れつつある状況が明らかになった。
|