研究課題/領域番号 |
25370945
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
澤井 充生 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 助教 (20404957)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会人類学 / 中国地域研究 / イスラーム地域研究 / 歴史人類学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の主な目的は、戦前・戦中期、日本軍が中国大陸において展開した回教工作(イスラーム工作)の具体的状況を文献調査およびフィールドワークにもとづいて把握・検討し、現地のムスリム・コミュニティとの関係性に焦点をあわせながら、回教工作の全体像および地域的特性を歴史人類学(植民地人類学)的視点から分析することにある。 2014年度は、初年度の基礎的な作業をふまえ、日本国内および中華人民共和国(北京市の中国社会科学院、寧夏回族自治区の自治区図書館)の教育・研究機関において、日本の回教工作に関連する文献資料を収集・整理し、日本の回教工作の全体像およびそれをとりまく情勢を俯瞰的に把握するよう努めた。とりわけ、日本軍特務機関が蒙疆に設立した西北回教聯合会の機関誌『回教月刊(西北鐘声)』を撮影・整理できたことが大きな成果である。 文献調査と並行して、中華人民共和国の内モンゴル自治区フフホト市において清真寺(モスク)を訪問し、日本軍関係者と接触したことがある情報提供者やその遺族(回族)から具体的な話を聞き取り、文献調査では明らかにされにくい当時の具体的状況を調査・記録した。「歴史の生き証人」は現地では次第に減少しつつあるが、関係者の遺族や家族・親族から日本軍占領期の状況について聞き取り現在も可能であり、日本軍特務機関と接触のあった人物の遺族を中心に聞き取り調査を実施し、日本軍占領に対する現地住民の反応を具体的に記録することができた。 今後の課題としては、日本の回教工作の全体像および蒙疆における回教工作の特性についてはある程度は把握できたものの、現地住民の歴史的記憶を丹念に調査・記録する必要がある。このためには最終年度にさらなる文献調査およびフィールドワーク(インタビュー調査)を現地で継続して実施せねばならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、2014年度は現地において文献調査および現地調査(フィールドワーク、インタビュー調査地)を実施できている。 とりわけ、北京市や寧夏回族自治区における文献調査では現地の研究者から多大な協力を得て、貴重な統計資料や歴史資料(史料)の複写・撮影が実現した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度も、中国の党・行政機関や教育・研究機関の協力者と緊密な連携関係を維持しながら現地調査を実施し、日本国内においては研究会を企画・開催し、本研究課題の調査・研究成果を対外的に発表することを予定している。
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