研究課題/領域番号 |
25370948
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
内堀 基光 放送大学, 教養学部, 教授 (30126726)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イバン人 / 家族史 / 国内移住 / 世代間関係 / 近代性 / 民族意識 |
研究実績の概要 |
研究第2年次にあたる平成26年度の研究は、かねてから研究を継続してきたイバン人社会における人間理解の方法、およびサラワク州内における他民族集団との関係、マレーシア国家との関係に関わる英文の論文2編の執筆に関わり、うち1編は年度内にサラワク州の文化財団研究機関誌に発表・公刊され、別の1編は公刊される単行本の1章としての編集作業に回付されているところである。これにともない、本研究の課題である「家族史」研究に関して、第1にはイバン人社会におけるキリスト教、とりわけ英国国教会の活動についての、第2には連邦としてのマレーシア国家における非マレー人在来民族集団法的・社会的位置づけに変遷についての、既刊資料を収集し、内容を整理し、その一部は単行本の1章となる予定の英文論文で参照した。 サラワク州内における現地調査としては、平成26年12月中に2週間、中部のビントゥル市内において、主として南部スリアマン省(旧サラワク第2省)のスクラン川流域からの移住者第2世代にあたる工場労働者、サービス産業従事者との非構造的インタビューを行ない、移住そのものの当事者である親の世代との現在の家族関係を中心に聞き書き資料を収集した。 第2年次は本来はラジャン川上流地域のイバン人を中心に現地調査を進める計画であったが、初年次に得られたビントゥル市内におけるイバン語による時流雑誌編集者および同人の雇用者の意識を探究することが重要であると判断し、調査地を変えることとなった。このため当初の研究遂行計画に一部変更が生じたが、上のような移住第2世代とのインタビューによって、次年次(27年度)の研究の筋道が建てやすくなったという効果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の半分を終えたところであるが、各地のイバン人の年長者の語る「家族史」はおおむね順調に累積しつつある。これについての文献的な裏付け、あるいは背景資料の収集にはやや薄弱な部分が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に現地調査中心という方策を継続する。27年度の調査としては、ラジャン川上流地域のイバン人の年長者および地方行政担当者とのインタビュー、およびサラトック町近郊のクリアン川流域およびその出身者で都市在住の公務員、教育関係者のインタビューを行なうことになる。時期としては8月末から9月までを考えているが、他の役務との関係が許せば、2月にも現地調査を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は本務との関係および他の研究による現地調査との関係から、本研究の課題であるサラワク州でのイバン人家族史の現地調査にかける日数が予定より1週間から10日間ほど短縮せざるを得なくなったこと、および航空運賃をほぼ最安値で購入したことにより、使用残額が称したものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の計画にあたっては現地調査期間が十分に取れるとの予定を立てており、また現地での専門知識供与者への謝金も生ずるところから、当初計画にあった助成金額はすべて使用することになる。26年度からの次年次使用額についても、27年度に2度の調査を行なうことが可能な場合、そのすべてを使用することになる。
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