研究実績の概要 |
本研究は、近年ますます盛んになりつつあるメディカルツーリズムとしての不妊治療に注目し、現在世界的な規模で進行している親子・家族・結婚観及び制度の変動の実態を実証的な調査を通して明らかにすることを目的としている。 研究開始2年目の本年度は、昨年度に引き続き関連著書や論文集、学術論文等を収集するとともに、それらを批判的に検討して理論的な整理を行った。その成果は、「生殖補助医療から「家族」を考える―ポスト生殖革命時代の親子、家族、結婚の観点から―」(2014年07月26日開催、2014年度家族問題研究学会シンポジウム「生殖補助医療と家族」(於・早稲田大学戸山キャンパス(文学部)36号館681教室)などとして口頭によって発表を行った。また、メディカルツーリズムの実態等に関するインタビュー調査の一環として、研究代表者も発表を行った国際学会(The International Conference of the IUAES (International Union of Anthropological and Ethnological Sciences, Makuhari Messe, Chiba, Japan, on 15th-18th May 2014) や国際ワークショップ(The Mini-workshop of the CGS (Center for Glocal Studies), Seijo University, Tokyo, Japan, on 17th May 2014)の場で、同席したタイ・タマサート大学の人類学者らからタイにおける不妊治療を中心としたメディカルツーリズムに関する情報の聴取を行った。 なお、研究代表者は、平成16年度以来今日に至るまで日本生殖医学会(旧日本着床学会)倫理委員会の外部倫理委員を務めており、同倫理委員会の場で、本研究で得られた知見等に基づいて随時、代理母出産や卵子提供の社会的適応(加齢等の社会的な理由による卵子提供)の是非等に関して意見等を具申している。
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