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2014 年度 実施状況報告書

メディカルツーリズムとしての不妊治療に関する文化人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370949
研究機関成城大学

研究代表者

上杉 富之  成城大学, 文芸学部, 教授 (00250019)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードメディカルツーリズム / 不妊治療 / タイ / 親子 / 家族 / 結婚
研究実績の概要

本研究は、近年ますます盛んになりつつあるメディカルツーリズムとしての不妊治療に注目し、現在世界的な規模で進行している親子・家族・結婚観及び制度の変動の実態を実証的な調査を通して明らかにすることを目的としている。
研究開始2年目の本年度は、昨年度に引き続き関連著書や論文集、学術論文等を収集するとともに、それらを批判的に検討して理論的な整理を行った。その成果は、「生殖補助医療から「家族」を考える―ポスト生殖革命時代の親子、家族、結婚の観点から―」(2014年07月26日開催、2014年度家族問題研究学会シンポジウム「生殖補助医療と家族」(於・早稲田大学戸山キャンパス(文学部)36号館681教室)などとして口頭によって発表を行った。また、メディカルツーリズムの実態等に関するインタビュー調査の一環として、研究代表者も発表を行った国際学会(The International Conference of the IUAES (International Union of Anthropological and Ethnological Sciences, Makuhari Messe, Chiba, Japan, on 15th-18th May 2014) や国際ワークショップ(The Mini-workshop of the CGS (Center for Glocal Studies), Seijo University, Tokyo, Japan, on 17th May 2014)の場で、同席したタイ・タマサート大学の人類学者らからタイにおける不妊治療を中心としたメディカルツーリズムに関する情報の聴取を行った。
なお、研究代表者は、平成16年度以来今日に至るまで日本生殖医学会(旧日本着床学会)倫理委員会の外部倫理委員を務めており、同倫理委員会の場で、本研究で得られた知見等に基づいて随時、代理母出産や卵子提供の社会的適応(加齢等の社会的な理由による卵子提供)の是非等に関して意見等を具申している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成26年度は、タイにおける不妊治療を中心としたメディカルツーリズムの実態調査を集中的に行う予定であったが、以下のような2つの理由から現地調査を断念せざるを得ず、当初の計画より研究の進展がやや遅れている。まず1つ目として、平成25年の9月以降タイの暫定政権は平成26年度も引き続き戒厳令を布いており(平成27年4月1日に解除)、現地で効果的な調査研究を実施することに困難が予想されたことがある。それに加え、2つ目として、平成26年10月に、日本人男性がタイ人の代理母に多数の子どもを産ませていたことが発覚して国際的に大問題となり、インタビュー調査等を予定していたメディカルツーリズム斡旋会社や医療機関等との連絡が困難になったことがある。以上の2つの理由から、平成26年度については、本研究は当初の計画よりやや遅れていると評価せざるを得ない結果となった。

今後の研究の推進方策

平成27年度も引き続き、タイにおける不妊治療を中心としたメディカルツーリズムの調査を行う。現地調査の実施に当たっては、現地のタマサート大学の研究者等から事前に関連情報を得るとともに協力や助言を求めるなどし、もっとも効果的かつ有効な調査ができるように配慮する。平成27年4月1日には戒厳令も解除されており、また、日本人男性による代理母出産スキャンダルもすでにおおむね沈静化しているので、平成27年の夏季休暇中に集中的かつ効果的な現地調査を実施するものとする。加えて、インターネット上でタイの新聞記事等を閲覧し、合わせて関連図書や論文等の文献を入手・分析するなどし、現地調査を補うバーチャル研究や文献研究を引き続き行うものとする。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画で平成26年度に予定していたタイにおけるメディカルツーリズムとしての不妊治療の実態及びそれに伴う親子や家族、結婚等の変化に関する現地調査が、一つにはタイ都市部で継続的に発令されていた戒厳令により、また、もう一つにはタイにおける日本人男性を巻き込んだタイ人代理母による多数の子どもの出産という世界的なスキャンダルが発生して実質的に実施不可能となったため、現地調査に支出する予定であった旅費を次年度(平成27年度)に使用することとした。

次年度使用額の使用計画

平成26年度に実施する予定であったタイにおけるメディカルツーリズムとしての不妊治療の実態及びそれに伴う親子や家族、結婚等の変化に関する現地調査を、平成27年度の夏季休暇中に合わせて行うこととして、平成26年度に発生した「次年度使用額」を速やかかつ有効に使用するものとする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「グローカル(化)という考え方」2014

    • 著者名/発表者名
      上杉富之
    • 雑誌名

      『Re』(建築保全センター)

      巻: 36巻2号(No.184) ページ: 58-59

  • [学会発表] 「生殖補助医療から「家族」を考える―ポスト生殖革命時代の親子、家族、結婚」2014

    • 著者名/発表者名
      上杉富之
    • 学会等名
      2014年度家族問題研究学会シンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学戸山キャンパス(文学部)36号館681教室)
    • 年月日
      2014-07-26
    • 招待講演
  • [学会発表] “Towards the Establishment of a Glocal Academic Network in Asia”2014

    • 著者名/発表者名
      Uesugi, Tomiyuki
    • 学会等名
      The Mini-Workshop of the CGS (Center for Glocal Studies)
    • 発表場所
      Seijo University, Tokyo, Japan
    • 年月日
      2014-05-17
  • [学会発表] “Glocal Studies”: Formulating and Conducting Studies on2014

    • 著者名/発表者名
      Uesugi, Tomiyuki
    • 学会等名
      The International Conference of the IUAES
    • 発表場所
      Makuhari Messe, Chiba, Japan
    • 年月日
      2014-05-15

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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