最終年度としての2016年度に関しては、成果発表に関わり、論で取りあげた方々やアドヴァイスをして頂いた方々に、公表しようとする文章を伝え、承諾して貰えるよう説明した。 また、グァテマラでは経済状況の悪化により、当科研を開始した時期から2016年度に至り、状況はかなり悪化した。それによって、当初予定していた議論のスキームは、その有効性から問い直す必要があると考えるに至った。たとえば、首都近郊の家政婦市場においても、既に供給過剰の動向が認識されるようになっていた。加えて、申請者が調査対象地の中心に据えていた、首都近郊の観光とし、アンティグア・グァテマラ市においては、極めてジェントリフィケーションが進行し、本研究が当初注目した、何らかの強いコネのないまま同市の市場経済に飛び込んだ女性は、別欄に記した申請者の業績に記したように、脆弱な回路を通じてでさえ、職を見つけることが難しい(ほぼ不可能な)状況にあることがわかった。 それに対して、規模的には圧倒的に大きいメキシコ・シティにおいて、同様のテーマ設定による研究を構想している。メキシコ国立自治大学(UNAM)の研究者などから情報を収集し、新自由主義がグローバルな規模で一層のこと熾烈化し、社会の隅々まで浸透するなか、本研究で取りあげようとした女性底辺労働者層が、どのようにこの巨大都市メキシコ・シティでの市場経済に再編されているのかに関して、新たに研究を展開しようと考えている。この試みは、社会理論・動態研究所の青木英男所長を代表とする科研基盤Aに分担者として参加させて頂き(2017年度~)、今後敷衍していこうと計画している。
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