本研究では、カリブ海、セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島国ベクウェイ島における「先住民生存捕鯨」の社会文化的意義について調査を実施した。ベクウェイ島では、捕鯨をホエール・ウォッチングに転換することをめざす反捕鯨NGOが、2014年に捕鯨活動の中心であった銛手から捕鯨ボートを買収、同銛手は捕鯨から引退した。その結果、活動中の捕鯨チームは2チーム、捕鯨ボートも2隻となり、同島の先住民生存捕鯨は弱体化した。引退した銛手と元捕鯨者の計2人がNGOの援助を受け、ホエール・ウォッチングの創業を準備している。4年の研究期間中にベクウェイ島の先住民生存捕鯨を取り巻く社会文化的状況は大きく変貌した。
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