今年度は最終年度ということで、通常の研究の推進とともに、成果のとりまとめやこれまでの補足を補うことを念頭に置きつつ調査研究を遂行した。海外調査としては、ニュージーランドとイギリスで行った。前者では移民コミュニティへの聞き取りもはさみつつ、大学や図書館にて関係資料の閲覧を行った。後者では、国立公文書館を中心に移民関係の歴史資料の収集・閲覧を行った。 国内では、アルバイトを雇用しつつ、これまでに収集してきた関係資料の整理・統合とデータベース化を進めた。ことに膨大な新聞資料については一定程度の整理に進捗が見られ、それらから先住民の婚姻戦略に関する貴重なデータと紛争時における少数民族の対応についての情報を整理することができた。また申請者の調査では情報があまり得られなかったオセアニア大国へ移民して、コミュニティネットワークを形成している少数民族の来歴と現状について、関係研究者との意見交換を通じて情報入手に努めた。 成果としては、日本文化人類学会のほか、日本オセアニア学会にて1件の学会発表を行った。あわせて学会中には、研究関係者と情報交換を行い今後の研究の進め方について意見を交わすのみならず、数多くの研究発表を拝聴することで研究課題と関連する研究課題についての知見を深めることができた。また、2冊の論集に一本ずつ合計2本の論文を発表した。それ以外の短いものとしては、エッセイ7本、翻訳1本を公表している。
|