社会の高齢化に伴い、心身の不調への対応として養生法への関心が高まっている。本研究では、「補完代替医療(CAM)」や「ヒーリング・オルタナティヴス」とも呼ばれてきた、近代西洋医学(コスモポリタン医学)に一体化されない養生の実践と展開を、高齢期のウェルビーイングに注目し検討した。近代西洋医学と多様な民間療法・代替医療が実践されてきたスイスとドイツに関し情報収集・現地調査を行った。 地域における治療・養生の伝統を基盤としてきたスイスやドイツの補完代替医療は、高齢者の心身状況に関わるばかりではなく、養生文化の拠点が多世代を包摂するコモンズ(共有地)として展開することに影響を与えてきたことが明確となった。
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