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2013 年度 実施状況報告書

叙任権闘争期における法観念の変動ーザーリアー朝の王権を対象として

研究課題

研究課題/領域番号 25380003
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

西川 洋一  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00114596)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードザーリアー王権 / 叙任権闘争 / カノン法学
研究概要

(1)25年度は初年度のため、まず最近研究の進展のめざましい初期教会法学及び、ザーリアー期の国制及び王権の観念についての研究状況を網羅的に把握することに努めた。まず前者については、多様な史料の作成年代や作成場所、あるいは下敷きとなっている史料について、新たな説が多数提唱されていることが明らかになったが、当該史料の中の方法的な発展等については、必ずしも明確な新しい見透しが得られていないことを確認することができた。後者については、オットーネン末期からザーリアー初期にかけて王権の権力集中の進捗を強調する傾向を持つWeinfurterらの近年注目されている研究を検討したが、その史料的基礎、とりわけ叙述史料の解釈について、当時の重大な政治的紛争にかかわる少なからぬ箇所において、史料の基本的な性格に関する深い吟味なしに、記述内容を文字通り受け取って、王のイニシアティブを一面的に強調する問題が見られることを確認した。これらの研究によってもこの時代の国制発展について最終的な結論が出たといは言えないように思う。
(2)いわゆるLibelli de lite imperatorum et pontificum全3巻を検討し、法的アーギュメンテーションの点で特徴のあると思われる著作をいくつか選択した。既に研究のある Deusdedit、Bonizo及びGerhoch von Reichersbergの著作の他、Dialogus de Sanctae Romaane Ecclesiaeなどを中心に検討することとした。
(3)これに対して、コンラート3世の証書の検討は着手したばかりであり、未だはっきりした成果は出ていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度であったため、研究状況と史料状況の確認に相当の時間を取ることは、以後の研究の進展のためには必要なことである。とくに、ドイツにおいてもかなり広い支持を得ているように思われるWeinfurterらの研究の問題点が明らかになったのは収穫であったと言える。ハインリヒ5世の書記局等の研究状況については、もう少し証書を検討したうえで問題点を明らかにした後の方が効率的であるの後回しにすることで研究の順序を微調整したが、研究の進捗の観点からは大きな問題とは言えない。

今後の研究の推進方策

Libelli de liteの中でピックアップした著作について、後に法的な概念として析出してくる用語の厳密な意味確定を前提として、法的なアーギュメンテーションの観点からの分析を進めるとともに、その作業によって得られた当時の法的思考の変化がどのように反映されているかという観点から、国王証書の解読を継続し、国制的な変化と書記局の人的な構成の変化の中で、王権周辺の法観念の展開を検討する。

次年度の研究費の使用計画

海外発注した図書の見積額と実際納品された際の金額に僅かな誤差があったため
必要な文房具の購入費に充当する。

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公開日: 2015-05-28  

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