研究課題
基盤研究(C)
叙任権闘争期においては、王権は当時の聖職者の間において論争を通して高度化した法学的思考の成果を積極的に取り入れ、オットーネン期と比較して、かなり高度な法的議論を展開し始めた。実体的利害と理念の対立の先鋭化にともない、それに対して以前よりも明確な論拠と論理で対応する傾向が明確に見られる。このような法的な論拠は同時に皇帝権の権威の上昇と結びつき、ライヒの統合の強化の方向に機能する。かくして叙任権闘争期は直接的にシュタウフェン期における皇帝権の法的な制度化の歴史的基礎を作り出したのである。
西洋法制史