法制度が社会の開発・発展にどのように寄与しうるのか、土地所有権制度の各国事情、土地所有権整備に係る各国の実態を調査・分析することを通じ社会発展に寄与しうる土地所有権制度の形態とその前提条件とは何かを明確化することが大目的であった。 具体的には、アジア(日本を含む)・アフリカの土地所有権の多様性を、法社会学、比較法学、開発法学の手法を用いて把握するためにフィールド調査を行ない、調査結果を分析することを計画した。研究をすすめる体制は、既存の協力体制のあるアジア・アフリカ諸国の研究者と現地における調査時および調査前後の情報収集等において連携し、常に最新の情報を収集・活用できる体制に基づき研究を進めた。 最終年度には、多元的法制度、開発法学研究の第一線で活躍する研究者を多数そろえるオーストラリア国立大学アジア太平洋学郡において成果報告会を開催した。特にモンゴルとタンザニアにおける土地改革の実態、提案されている国際機関主導の法案の問題、プロジェクト先行で起こっている提案されている土地法のないようを先取りするような実態における慣習法下の権利との軋轢などの現状とその分析結果を報告した。 多数の専門家の参加を得た結果、今後継続的にフォローしていく課題としては、モンゴル、アフリカにおける牧畜民がたどっている慣習法の制定法化過程の混乱についてを内蒙古およびヨーロッパ諸国における牧畜民の歴史と比較すること、これらのケースを集結し、多元的法体制主義の視点から考察し一定の理論構築を果たすことが求められていることが確認できた。 今後の課題は、継続的に各国のケースをフォローしつつ慣習法を尊重する多元的法体制主義の精神による理論構築である。
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