本研究は、オランダとそのインドネシアの司法・実務の変化を歴史的に比較検証し、インドネシアの司法制度の発展と改革について考察した。特に法制度の発展は外部からの法と法制度の移植を契機とする「法の移植」論と、初期条件に規定される法制度の経路依存性という比較法方法論を用いた。研究成果は、オランダからの司法制度を含む、法令/法制度の移植が、現在のインドネシアにおける法の発展に与えた影響を明らかにした。特に裁判官人事制度については、制度として導入されたオランダ型官僚的司法制度と植民地特有の事情(原住民差別、法曹人材不足、法多元性)とが原住民裁判官のキャリアに大きな影響を与えたことを明らかにした。
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