研究課題/領域番号 |
25380016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀智 明治大学, 法学部, 教授 (50303037)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電子メディア / 言論・プレスの自由 / 情報の多様性 / 地域性 / 公正競争の維持 / 民主主義理論 / 市場主義 |
研究概要 |
本年度は、米国の電子メディア規制に関する検討のうち、合衆国最高裁判所による電子メディア所有規制の合憲性審査が問題となった判例(NBC事件判決、NCCB判決、Metro Broadcasting Co.判決など)を検討した。 1934年通信法(Communications Act of 1934)制定から開始された連邦通信委員会(FCC)による当該規制が、電波の有限希少性を根拠として、言論・プレスの自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反しないとされていたが(NBC判決)、本年度は、その後の通信技術の発達により、漠然とした規制根拠では当該規制の合憲性が根拠づけられないとの見解が一般的に支持され、法と経済学学派の主張を基本とした市場主義アプローチの台頭により、規制根拠の詳細化・具体化が試みられ、規制根拠と合理的関連性がない規制の廃止・緩和が実施されていることを明らかにした。それと同時に今年度は、合衆国最高裁判例においても、当該規制が修正第1条の前提とする民主主義理論と関連付けられて検討されていることを明らかにした。 そのうえで、現在、米国の民主主義理論を検討し、それが修正第1条上どのように法的に理論化されているのかについて検討を行っている。これまで共和主義、複合的民主主義論を検討したが、それに加えて、メディア所有規制の理念の一つである地域性(localism)の確保の点に関連させて、米国の統治制度、特に連邦制、地方自治のあり方に関する議論の観点からの検討の必要性が新たに認識されたことから、この点について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
収集した資料・文献などの検討は順調に行っている。しかし、当初米国への調査出張を行う予定であったが、研究申請段階の為替相場が1ドル=70円台後半であり、それを前提として申請を行ったが、その後100円を超える状態となったことで、米国のメディア関連書籍が当初の予想以上に値上がりし、また米国への渡航費も変更されることとなった。 そのため、本年度は米国への渡航を中止せざるを得なくなった。また、書籍の購入にも支障が出た。それにより、研究に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度実施できなかった米国への調査出張を行い、効率的な資料収集などを行う予定である。また、今後の為替市場など不確定要素があるが、適宜対応を行っていく予定である。 そして当初の研究計画である、1996年電気通信法(Telecommunications Act of 1996)202条に基づく、規制改革審査及びそれに対する司法審査の状況を検討する。もっとも、研究計画書作成段階においては、FCCが2010年規制改革審査報告書を公表することが当然視されていたが、2014年4月に報告書の公表を断念するとの報道発表が行われ、現在は、2014年の規制改革審査手続が開始されている。このような予期できない事情変更があるが、さしあたり平成26年度は、当初の計画通りに研究を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
為替相場を1ドル=70円台後半として研究計画を作成したが、その後100円を超えるものとなってしまったことから、米国書籍が当初の予想よりも高騰し、また米国への出張旅費も同時に変更されたため、本年度は、書籍の購入を優先し、出張を取りやめたため。 平成26年度は、出張を行うことを前提として、資金使用を行っていく予定である。
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